
今回は、今話題の『カヌレ・ド・ボルドー』を上手に作りたい①でお話しできなかった模索の結果をお話ししていこうと思います。
カヌレを上手に作りたい
失敗の原因はなに?
ふにゃレ、ピサレ、ハゲレ…と、数々の失敗を生み出したぱに子。
この失敗、実はどれも焼成時に発射してしまっているんです。

でも、逆に言えば、発射さえしなければ成功カヌレにぐっと近づける…??
ということで、発射問題に重点をおいて、改善していくことにしました。
発射の原因
カヌレが発射する原因は、いくつかあります。
- 混ぜすぎてグルテンが強化
- 牛乳のたんぱく質が悪さしている
- 焼き温度が低い
- 寝かし不足
そのため、カヌレ作りでよく言われるのが、
・混ぜすぎない!ダマが残っててもOK!!!
・カヌレは焼き初めが勝負!一気に高温で!!!
・生地は12~48時間寝かせる!最低でも12時間は厳守!!!
この3つだと思います。
試したこと①
発射の原因をふまえて、まず初めに試したことは、
- 混ぜすぎない
- 庫内温度を下げない
- 生地を一気に沸騰させる
ということ。
これらはどのレシピでもよく見かける注意事項です。
まず、生地作りの際には粉類を投下したらできるだけ混ぜないようにし、ダマのある状態で冷蔵庫で寝かします。
焼成当日、冷蔵庫から出した生地を一度漉して、常温(20℃くらい)に戻します。
型に流し込む前に、全体が均一になるように5回ほどゴムベラで混ぜ、流し込みます。
予熱(250℃)する際にも、庫内温度を下げないようにするため、鉄板ごと予熱。
そして、火の通りが良くなるようにシリコン型からテフロン型へ変更しました。
<条件>
・混ぜすぎないように生地を作る
・12時間寝かせる
・予熱は250℃で鉄板ごと
・焼く前に常温(20℃)に戻す
・テフロン型使用
結果は……いまいちでした。
変化らしい変化は感じられれず、普通に発射してしまいました。
改善されたことといえば、テフロン型にしたことで、全体に焼き色がしっかりとつくようになったことです。
試したこと②
次に、牛乳の温め温度による違いが出るのか検証しました。
多くのレシピが、牛乳を60℃に温めるもしくは、沸騰直前まで温めるとしていますが、中には沸騰させるというレシピも見かけました。
どうやらカヌレ作りでは沸騰させない派と、沸騰させる派の2派閥が存在するようです。
ということで、60℃まで温めた牛乳を使用した生地と、沸騰させた牛乳を使用した生地を用意し、比較しました。
<共通条件>
・混ぜすぎないように生地を作る
・12時間寝かせる
・予熱250℃で鉄板ごと
・焼く前に常温(20℃)に戻す
・テフロン型使用
A.牛乳を60℃に温める
B.牛乳を沸騰させる
結果……A・Bどちらも発射しました。
どちらも発射してしまう結果となったため、これ以降は60℃に温める方法で進めていきます。
ちなみに、60℃にした理由は、生地作りをサクッと済ませたいからです。
沸騰させた牛乳では、そのまま卵と混ぜると凝固させてしまうので、冷ましてからでないと混ぜられない分時間がかかりました。
試したこと③
寝かす時間を12時間→36時間へ変更。
今までのカヌレ作りのルーティンは、金曜日…仕事から帰ってきてから生地を仕込み、土曜日の朝焼く、という感じでした。
18時過ぎくらいから作り、翌7時まで寝かせているので大体12時間ほど。
寝かし時間の最低ラインでいつも焼成へと入っていました。
なので、今回は木曜日の夜に仕込み、土曜日の朝に焼いてみることに。
<条件>
・混ぜすぎないように生地を作る
・36時間寝かせる
・予熱は250℃で鉄板ごと
・焼く前に常温(20℃)に戻す
・テフロン型使用
結果……発射しても、型に自然と戻るものもあった。(2/5個)
正直、寝かせる時間でそんなに変化はないだろうと思っていたので、12時間以上寝かせたことがなかったのですが、大きな変化となりました。
“戻るものもあった”とい表現したのは、庫内の型すべてが収まったわけではなかったからです。
場所による火力の微妙な差が影響しているのか分かりませんが、5個焼いたうち、2個が自然と型へ収まりました。
レシピ・作り方は同じまま、寝かせる時間でこんなに違いがでるとは驚きです。
成功カヌレが見えてきた気がしました。
試したこと④
最後に試したのは、“卵黄だけ”のレシピで作ることです。
というのも、カヌレの起源は卵黄が余ったから考案された、とされているので、本来のレシピは全卵ではなく、卵黄のみだったのではないかと思ったのです。
以下、引用。
カヌレの詳しい歴史は謎に包まれています。起源は諸説ありますが、ボルドーにある女子修道院が発祥の地という説が有力です。16世紀ごろ、ボルドーではワイン作りが盛んで、そのワインのオリを除去するために卵白を使用していました。そのときに余ってしまう卵黄を利用して作られたお菓子がカヌレの始まりと言われています。
引用:https://www.kanro.co.jp/sweeten/detail/id=2165
今まで使用していたレシピは、
卵黄1個+全卵1/2個
を混ぜるレシピでした。
なので、卵黄だけを使ったレシピを探し、見つけたのがコチラのサイト。
大和さやかさんのレシピを参考にさせていただきました。
(バニラビーンズと生クリームがなかったので入れてません…。)
<条件>
・混ぜすぎないように生地を作る
・36時間寝かせる
・予熱は250℃で鉄板ごと
・焼く前に常温(20℃)に戻す
・テフロン型使用
・卵黄だけを使ったレシピにする
結果……大・大・大成功です!
レシピを卵黄だけのものにしたら、5個焼成し、5個とも自然と型へ収まるようになりました。

まとめ
カヌレ作りでたくさんの失敗を経て、ようやく成功へ!
数年前に作ったときは「カヌレが失敗するのは火力不足のせい…」と諦めそうにもなりましたが、寝かせる時間やレシピを変えることで成功することができました。
同じように、カヌレ作りがなかなかうまくいかない方の参考になれば幸いです。
↓前回の記事はコチラ↓
追記
型に流し込む際、8割を目安に流し込んでいましたが、6割ほどで作ってみると比較的型に戻りやすくなりました。
というか、発射しても型の高さより出てこないので横に膨張しない…という感じ?
上手くいけば底に着地してくれます。
おためしあれ。